微妙差别日语作文
微妙な違い
長崎の26聖人像を作ったとき、出来上がってから気がついた。26人だから手が52本、したがって指は全部で260本作った。こんな当たり前のことを後で気がついて、よく作ったものだと自分で感心した。合掌する手を作るのだから、いい加減にするわけにはいかない。ちゃんと一本一本指を作ったのだ。「よくやった」と自分で自分を誉める気持ちだった。私は、この他にもかなりの数の全身像を作っている。その度ごとに手を作っているのだから、相当な数の手を作ってきたことになるのだ。ところが、最近になって、手の構造、5本の指を相互の関係と、その微妙な比例の素晴らしさに、やっと気がついた。今ごろになって気がついて、よくそれで彫刻を作ってきたものだと、これはちょっと恥ずかしい話だ。何とはなしに、ただ見えるがままに作っていたのだが、私の作った手が、指の長さの比例が、特に誤って作られていたというのではない。間違って作っていたら、取り返しのつかないことになる。彫刻は絵と違って、後で直せないから、親指と他の4本の関係を見ても、長さと太さの違いだけではない。机の上に手を置いてみてください。4本の指の爪は上をむいているが、その時、親指は真横を向いている。決して軍手のように5本とも平べったく同じに上に向いてはいない。それぞれの指の関節の間の長さの比例は、見事なリズムを持っている。動物の体の中で、人間は手の構造についてだけは自慢できるだろう。
この文章は、作者が長崎の26聖人像を作った時の経験について語っています。作者は、26人の聖人の手を作り、52本の指、つまり260本の手を一つ一つ作り上げたことに気づきました。作者は、自分が丁寧に一本一本指を作ったことを自分で感心し、「よくやった」と自分を褒め称えました。また、作者は他の全身像も作っており、その度に手を作り上げてきたため、かなりの数の手を作ってきたと言います。しかし、最近になって、手の中の5本の指の関係と微妙な比例の素晴らしさに気づきました。作者は、自分の手を作り方が、以前はただ見えるだけでしたが、実際には指の長さの比例が正確に作られていなかったことに気づきました。彫刻は描いた絵とは違い、後で修正することができないため、親指と他の4本の指の関係を見ても、単に長さや太さの違いだけではなく、指の関節間の長さの比例が美しく作られていたことに気づきました。作者は、人間の手の構造に誇りを持てると感じています。